沖縄の御願(うぐぁん)
沖縄の御願には、場所・日取り・供物・線香の本数それぞれの作法があります。台所のヒヌカンから墓前の清明祭まで、各御願の手順を日本語とポルトガル語で解説します。
御願の作法
沖縄の御願 — 作法の手引き
御願は種類ごとに時期・ヒラウコーの本数・紙・供物・唱える言葉が決まっています。以下、種類別にまとめました。
ヒラウコー
沖縄の板状線香。1枚=6本、半枚=3本、タヒラ=2枚=12本。
シルカビ
手で(刃物を使わず)ちぎった白紙。神様(ヒヌカン・地主神・海神)へ。
ウチカビ
銭型を打った黄色の紙銭=あの世のお金。先祖へ、奇数枚で。
ウビーと塩
水(ウビー)三つと粗塩で場を清めてから拝みます。
御願本数の意味
| 御願 | ヒラウコー | 意味 |
|---|---|---|
| 日々のヒヌカン | ヒラウコー半枚(3本) | 台所のヒヌカンへの日常の祈り。 |
| ヒヌカン 朔日・十五日 | ヒラウコー1枚(6本) | 月2回の正式な祈り。 |
| 仏壇・先祖 | タヒラ(12本) | 12ヶ月を表す先祖供養の基本数。 |
| 御嶽・神々 | タヒラ半(15本) | 土地・海・山の神、ウンガミ、ハチウガミなど。 |
| 葬儀・四十九日 | ヒラウコー3枚(18本) | 故人の魂を彼岸へ送る。 |
| トゥシビー・祝事 | ヒラウコー1枚(6本) | 長寿と加護への感謝。 |
ヒヌカン御願
Hinukan-ugan時期
毎朝。旧暦の朔日(1日)と十五日は特に丁寧に行います。
🔥 線香の本数
平日はヒラウコー半枚(3本)。朔日・十五日は1枚(6本)。
📜 紙
シルカビ(白紙)3片を線香の下に。
🍚 供物
ウビー(水)三つ、粗塩、チャーギ等の青葉、泡盛(あれば)。
手順
- 1. ウビー(水)を三つ取り替え、火の神の場を清めます。
- 2. ヒラウコーに火を点けます。息で消さず手であおぎます。
- 3. 両手で額の高さに掲げ、軽く礼をします。
- 4. 香炉に立てて供えます。
- 5. 屋号・住所・今日の願いを小声で申し上げます。
- 6. 合掌して感謝し、線香が燃え尽きるまで待ちます。
唱える言葉
ウートートゥー、ヒヌカンヌカミガナシー、今日一日、家内安全にお守りください。
仏壇御願
Butsudan-ugan時期
毎朝、朔日・十五日、命日、年中行事の日。
🔥 線香の本数
タヒラ(2枚=12本、12ヶ月を表す)。忌中は3枚(18本)。
📜 紙
ウチカビ(黄色の紙銭)を奇数枚(1・3・5)。
🍚 供物
ご飯・お茶・果物・お菓子・泡盛。行事日は重箱(9品または15品)。
手順
- 1. 仏壇の扉を開け、水とご飯を新しくします。
- 2. タヒラに点火し、両手で供えます。
- 3. リンを1〜2回鳴らします。
- 4. 門中・先祖の名を呼び、家族の報告をします。
- 5. 行事日はウチカビを焚き、泡盛(水割り)をかけて消します。
- 6. 合掌・礼で締めます。
唱える言葉
ウートートゥー、ご先祖様、いつもお見守りいただきありがとうございます。
屋敷御願 (ヤシチヌウガン)
Yashichi-ugan時期
年3回(旧暦2月・8月・12月)。新築・引越・改築の際にも。
🔥 線香の本数
タヒラ半(15本)。四隅に各3本、中央または門に3本。
📜 紙
四隅にシルカビ(神様なのでシルカビ)。
🍚 供物
水・塩・泡盛・洗い米を小皿に。
手順
- 1. まずヒヌカンに屋敷御願の許しを願います。
- 2. 北東(丑寅)の隅から時計回りに四隅を回ります。
- 3. 各隅でシルカビ・線香3本・水塩泡盛を供え祈願。
- 4. 最後にジョーグチ(門)で悪しきものの侵入除けを祈ります。
- 5. ヒヌカンに戻り、無事終了の報告と感謝。
唱える言葉
ウートートゥー、地主神(ジーヌシガミ)、この屋敷をお守りください。
墓前御願 / シーミー
Bozen-ugan / Shīmī時期
清明祭(4〜5月)、旧七夕、旧盆前の墓掃除の際。
🔥 線香の本数
墓にタヒラ(12本)、参加する各家(分家)ごとに1枚(6本)。
📜 紙
ウチカビは多め。各家が持参します。
🍚 供物
重箱(お料理と餅)、果物、泡盛、お茶、花。
手順
- 1. まず墓と周囲を掃除します。
- 2. 先に墓の左のヒジャイガミ(左神)へ祈ります。
- 3. 供物を並べ、タヒラを点け、参加者を名乗ります。
- 4. ウチカビを焚き、泡盛の水割りをかけます。
- 5. 供物を皆でいただく「ウサンデー」も祭祀の一部です。
唱える言葉
ウートートゥー、一族揃ってお参りに参りました。どうぞお受け取りください。
旧盆御願 (ウンケー・ナカビ・ウークイ)
Kyū-bon時期
旧暦7月13・14・15日(新暦8〜9月)。
🔥 線香の本数
3日間、朝昼晩の1日3回タヒラを供えます。
📜 紙
初日と中日は少量。ウークイで大量のウチカビを焚き上げます。
🍚 供物
ウンケー:ジューシー。ナカビ:お菓子・果物。ウークイ:重箱とサトウキビ(杖)。
手順
- 1. ウンケー:提灯を灯し、門口で先祖を迎えます。
- 2. ナカビ:親戚を訪ね、各家の仏壇を拝みます。
- 3. ウークイ:夜に供物を整え、ウチカビを焚き上げます。
- 4. サトウキビを添えて門口までお送りし、感謝します。
唱える言葉
ウートートゥー、また来年お待ちしております。道中お気をつけて。
トゥシビー御願
Tūshibī時期
13・25・37・49・61・73歳(カジマヤーは97歳)。旧暦の生まれ年の干支の日。
🔥 線香の本数
ヒヌカンに1枚(6本)、仏壇にタヒラ(12本)。
📜 紙
仏壇にウチカビ、ヒヌカンにシルカビ。
🍚 供物
赤飯またはジューシー、菓子、果物、泡盛。祝われる人は赤い物を身につけます。
手順
- 1. ヒヌカンに一年の健康を祈願します。
- 2. 仏壇で先祖の加護に感謝します。
- 3. 家族で祝宴、泡盛で乾杯します。
唱える言葉
ウートートゥー、無事にこの年を迎えました。これからもお守りください。
門中御願 (ムンチュー御願)
Munchū-ugan時期
年1〜2回、門中墓またはムートゥーヤー(宗家)に一族が集まって行います。
🔥 線香の本数
門中墓ではタヒラ半(15本)、各仏壇ではタヒラ(12本)。
📜 紙
ウチカビを奇数枚、各家で分けて焚きます。
🍚 供物
重箱(料理・お菓子)、泡盛、お茶、果物、花。
手順
- 1. 門中頭(最年長者)が一族を代表して拝みます。
- 2. 各家が屋号と名を申し上げます。
- 3. ウチカビを焚き上げ、供物を一族で分けていただきます。
唱える言葉
ウートートゥー、門中一同、無事に集まりました。子孫繁栄をお守りください。
ハチウガミ (初御願)
Hachi-ugan時期
旧暦1月1〜3日。集落の御嶽にも参ります。
🔥 線香の本数
ヒヌカンに1枚(6本)、御嶽ではタヒラ半(15本)。
📜 紙
ヒヌカン・御嶽ともシルカビ3片。
🍚 供物
ウビー、塩、泡盛、米、正月の果物。
手順
- 1. まずヒヌカンに一年の健康と平安を祈ります。
- 2. 次に仏壇で新年を報告します。
- 3. 最後に集落の御嶽・寺社に参ります。
唱える言葉
ウートートゥー、今年一年、家内安全・無病息災でお願いいたします。
カー御願 (井泉・水の神)
Kā-ugan時期
旧正月(初カー)と赤ちゃん誕生時(ウブナディ)。
🔥 線香の本数
井泉の前でヒラウコー1枚(6本)。
📜 紙
シルカビ3片を井泉の石の上に。
🍚 供物
塩、洗い米、泡盛、青葉。
手順
- 1. 井泉の周りを清掃します。
- 2. 塩と米を供え、線香を立てて水への感謝を述べます。
- 3. 若水を汲み、家のヒヌカン御願に用います。
唱える言葉
ウートートゥー、カーヌカミガナシー、清らかな水をありがとうございます。
海神祭・浜下り御願
Ungami / Hamaori時期
海神祭は旧暦7月、浜下りは旧暦3月3日。
🔥 線香の本数
浜辺でヒラウコー1枚(6本)。村の祭祀ではタヒラ半(15本)。
📜 紙
シルカビ3片を石で押さえて供えます。
🍚 供物
塩、泡盛、米、海の物。ゴミは残しません。
手順
- 1. 海に向かい、塩と泡盛を供えます。
- 2. 線香を立て、航海安全と豊漁を祈ります。
- 3. 浜下りでは足を海水に浸して身を清めます。
唱える言葉
ウートートゥー、海の神様、航海安全と豊漁をお守りください。
葬儀・四十九日御願
Sōgi / Shijūkunichi時期
葬儀、初七日、四十九日、以後の年忌(1・3・7・13・25・33年)。
🔥 線香の本数
ヒラウコー3枚(18本)。故人の魂を彼岸へ送る本数です。
📜 紙
ウチカビを多めに奇数枚、最後に焚き上げます。
🍚 供物
精進料理の重箱、お茶、水、白い花。忌中は肉を避けます。
手順
- 1. 3枚を立て、故人名と屋号を申し上げます。
- 2. 年長者から順に拝みます。
- 3. 四十九日にウチカビを焚き、魂を彼岸へお送りします。
唱える言葉
ウートートゥー、安らかに彼岸へお進みください。私たちをお守りください。
家御願 (ヤーガー御願)
Yāgā-ugan時期
年2回(旧暦2月・8月)。引越し後や家内に不幸があった時にも行います。
🔥 線香の本数
家の神棚に1枚(6本)。屋敷御願と併せる場合はタヒラ半(15本)。
📜 紙
シルカビ3片。家の守り神への供え物です。
🍚 供物
ウビー、塩、洗い米、泡盛、チャーギ等の青葉。
手順
- 1. 玄関と各部屋を水と塩で清めます。
- 2. ヒヌカンに家御願の許しを願います。
- 3. 家の神棚または家の一番高い場所にシルカビと線香を供えます。
- 4. 住人全員の健康・安全・事故除けを祈ります。
- 5. 合掌で締め、ヒヌカンに終了を報告します。
唱える言葉
ウートートゥー、家の神様、この家と家族をお守りください。
七月詣・十二月詣 (シチマイ・ジュウボンイチ)
Shichi-mai / Jūbon-ichi時期
シチマイは旧暦7月(旧盆前)。ジュウボンイチは旧暦12月(年の瀬)。
🔥 線香の本数
シチマイ:ヒヌカン1枚(6本)、仏壇タヒラ(12本)。ジュウボンイチ:仏壇タヒラ(12本)。
📜 紙
シチマイ:仏壇にウチカビ。ジュウボンイチ:奇数枚のウチカビを焚いて年の感謝。
🍚 供物
シチマイ:ジューシー・果物・お菓子。ジュウボンイチ:餅・泡盛・年の果物。
手順
- 1. シチマイ:旧盆に先祖を迎える準備をします。
- 2. ジュウボンイチ:仏壇を清め、一年の感謝を捧げます。
- 3. 線香を立て、先祖の名を呼びます。
- 4. ウチカビを焚き、次の季節の守護を祈ります。
唱える言葉
ウートートゥー、一年の無事を感謝し、これからもお守りください。
日三番吉 (ニーサンキッチ)
Nīsan-kichi時期
毎月3・13・23日。店・工場・飲食店で特に行われます。
🔥 線香の本数
店のヒヌカンに1枚(6本)。仏壇があればタヒラ(12本)。
📜 紙
ヒヌカンにシルカビ、仏壇にウチカビ。
🍚 供物
ウビー、塩、洗い米、硬貨(象徴的)、泡盛。
手順
- 1. 普段より早く店を開け、掃除をします。
- 2. ヒヌカンに商売繁盛と職場の安全を祈ります。
- 3. レジやカウンターに小さな供物を数時間置きます。
- 4. 礼をして感謝の言葉で締めます。
唱える言葉
ウートートゥー、商売繁盛、家内安全、お客様をお守りください。
カジマヤー (97歳祝い)
Kajimayā時期
97歳の誕生日。干支12年が8周する還暦を超えた最高の長寿祝いです。
🔥 線香の本数
仏壇にタヒラ(12本)、ヒヌカンに1枚(6本)。村の御嶽ではタヒラ半(15本)。
📜 紙
仏壇に大量のウチカビ、ヒヌカンと御嶽にシルカビ。
🍚 供物
赤飯、9品または15品の重箱、果物、菓子、泡盛、赤い花。
手順
- 1. 遠くに住む子孫も含め、家族を集めます。
- 2. 祝われる人は赤や紫の長寿の衣装を着ます。
- 3. 仏壇とヒヌカンに長寿への感謝を捧げます。
- 4. 家族と来客で泡盛で乾杯し、カジマヤーブシを唄います。
- 5. 赤飯や菓子を近所や親戚に配ります。
唱える言葉
ウートートゥー、カジマヤーを迎えられたことを心より感謝いたします。
ウブナディ (産水祝い)
Ubunadī時期
生後7日目の初沐浴の時、また井泉・水源に初めて連れた時。
🔥 線香の本数
井泉でヒラウコー半枚(3本)。家に帰ってヒヌカンに1枚(6本)。
📜 紙
井泉の石の上にシルカビ3片。
🍚 供物
塩、洗い米、泡盛、青葉、赤ちゃんのための清水。
手順
- 1. 祖母または母親が赤ちゃんを井泉に連れて行きます。
- 2. 水の神様に赤ちゃんの健康を祈ります。
- 3. 井泉の水で赤ちゃんの頭と手を軽く濡らします。
- 4. 小さな壺に水を汲み、家のヒヌカン御願に使います。
- 5. 家に帰り、ヒヌカンに1枚を立て、赤ちゃんをヒヌカンに紹介します。
唱える言葉
ウートートゥー、カーヌカミガナシー、どうかこの子を健やかに育ててください。
ミミチリ御願 (三十三日)
Mimichiri-ugan時期
生後33日目の夜。赤ちゃんを正式に先祖へ紹介する御願です。
🔥 線香の本数
仏壇にヒラウコー1枚(6本)、ヒヌカンに半枚(3本)。
📜 紙
仏壇にシルカビ3片。
🍚 供物
赤飯、ちんすこう等の菓子、果物、お茶、泡盛。
手順
- 1. 赤ちゃんに新しい着物を着せ、仏壇を清めます。
- 2. 線香を立て、赤ちゃんの氏名を先祖に申し上げます。
- 3. 幼少期の無事をお願いします。
- 4. ヒヌカンにも御願し、赤飯を供えます。
唱える言葉
ウートートゥー、ウヤファーフジガナシー、この子を無事に育ててください。
神御願 (御嶽参り)
Kami-ugan / Utaki-mairi時期
旧暦の朔日・十五日、村の祭祀の日、大事を決める前など。
🔥 線香の本数
御嶽ごとにヒラウコー1枚(6本)。村祭りでは2枚(12本)。
📜 紙
シルカビ3片。ウチカビは使いません(神への御願のため)。
🍚 供物
塩、洗い米、泡盛、青葉、水。
手順
- 1. 静かに入り、枝を折らず、何も持ち帰りません。
- 2. イビの石にシルカビを置き、線香を立てます。
- 3. 村名・屋号・氏名を申し上げてから願います。
- 4. 帰りに道の神にも感謝します。
唱える言葉
ウートートゥー、ウタキヌカミガナシー、村と家をお守りください。
十本一 (ジュウボンイチ・年末御願)
Jūbon-ichi時期
旧暦12月24日〜28日。ヒヌカンが天に昇る前の一年の御礼。
🔥 線香の本数
ヒヌカンに15本(2枚半)、仏壇に12本(2枚)。
📜 紙
シルカビ3片、仏壇にはウチカビ3枚。
🍚 供物
餅、果物、干魚、泡盛、洗い米、塩。
手順
- 1. 御願の前に家と台所を大掃除します。
- 2. ヒヌカンの香炉の灰と青葉を新しくします。
- 3. 15本を立て、一年の各月に感謝します。
- 4. ヒヌカンに家の良い報告を天へ届けるようお願いします。
唱える言葉
ウートートゥー、一年間お守りいただき、まことにありがとうございました。
ユンジュー御願 (稲の御願)
Yunjū時期
田植え(旧2〜3月)と収穫(旧5〜6月・ウマチー)の時。
🔥 線香の本数
田の畦でヒラウコー半枚(3本)、家のヒヌカンに1枚(6本)。
📜 紙
シルカビ3片を畦に埋めます。
🍚 供物
初穂、洗い米、塩、泡盛、水。
手順
- 1. 田植え前に土地の神に豊作を願います。
- 2. 収穫時は初穂を食べる前に供えます。
- 3. 初穂を仏壇にも供え、先祖に報告します。
唱える言葉
ウートートゥー、今年も豊作をお与えください。
シバサシ・墓掃除御願 (シバヒキ)
Shibasashi / Shibahiki時期
シバヒキ:旧7月、旧盆前の墓掃除。シバサシ:旧8月9日、家の入口にサン(魔除けの葉)を刺します。
🔥 線香の本数
掃除後、墓に半枚(3本)。シバサシは家の各所に半枚(3本)。
📜 紙
墓にシルカビ3片。シバサシでは紙は使いません。
🍚 供物
水、塩、泡盛、ススキを結んだサン。
手順
- 1. 草を刈り、墓前を清め、枯葉を除きます。
- 2. 旧盆が近いことを先祖に申し上げます。
- 3. シバサシでは門・戸・屋根・倉にススキのサンを刺します。
- 4. 魔と病が家に入らぬよう祈ります。
唱える言葉
ウートートゥー、悪しきものを退け、家内を清くお守りください。
カマド神御願 (カマクラ)
Kamado-gami / Kamakura時期
旧11月の冬入り、また新しい倉・竈・炉を使う時。
🔥 線香の本数
竈・倉に半枚(3本)、ヒヌカンに1枚(6本)。
📜 紙
シルカビ3片。
🍚 供物
塩、洗い米、泡盛、芋や貯蔵した穀物。
手順
- 1. 竈・倉・火の道具を清めます。
- 2. 火事と食料の傷みからの守りを願います。
- 3. 一年家族を支えた食に感謝します。
唱える言葉
ウートートゥー、火の災いなく、蓄えをお守りください。
未生盆御願 (ミショーボン)
Mishō-bon-ugan時期
旧7月(旧盆の頃)、または命日に行います。
🔥 線香の本数
ヒラウコー半枚(3本)。仏壇の外で静かに行います。
📜 紙
シルカビ3片、ウチカビ1枚。
🍚 供物
小さな菓子、ミルクか甘い水、果物、白い花。
手順
- 1. 清らかな一角を用意します(大人の仏壇の上ではありません)。
- 2. 線香を立て、優しく語りかけ、望めば名を付けます。
- 3. 先祖にその子を迎え守るようお願いします。
- 4. ウチカビを焚き、感謝して終えます。
唱える言葉
ウートートゥー、この子をどうか温かくお迎えください。
船・車御願 (フナウガン)
Funa-ugan / Kuruma-ugan時期
新しい船・車を購入した時、長旅や漁の季節の前。
🔥 線香の本数
船・車に半枚(3本)、家のヒヌカンに1枚(6本)。
📜 紙
シルカビ3片。
🍚 供物
塩、洗い米、泡盛(舳先やハンドルに撒く)、青葉。
手順
- 1. 御願の前に船・車を洗い清めます。
- 2. 舳先・車輪・ハンドルに塩と泡盛を撒きます。
- 3. 線香を立て、安全と大漁を願います。
- 4. 家でヒヌカンに新しい船・車を報告します。
唱える言葉
ウートートゥー、海路・陸路の安全をお守りください。
ウマチー御願
Umachī-ugan時期
旧暦2月・3月・5月・6月(麦・稲の播種・成育・収穫)。
🔥 線香の本数
村の御嶽に1枚(6本)、田畑に半枚(3本)。
📜 紙
シルカビ3片(神への御願)。
🍚 供物
初穂、泡盛、塩、洗い米、青葉。
手順
- 1. 初穂を村の御嶽へ持参します。
- 2. 線香を立て、村中の家を代表して収穫を感謝します。
- 3. 適度な雨、台風・害虫からの守りを願います。
- 4. 供物を皆で分けていただきます(ウサンデー)。
唱える言葉
ウートートゥー、五穀豊穣をお守りください。
アブシバレー御願
Abushibarē-ugan時期
旧暦4月15日。
🔥 線香の本数
田畑の畦ごとに半枚(3本)。
📜 紙
畦にシルカビ3片。
🍚 供物
泡盛・塩・洗い米。害虫を海へ流す葉の小舟。
手順
- 1. 畦を掃除し草を刈ります。
- 2. 害虫を葉の小舟に載せます。
- 3. 害を田から海へ送るよう祈ります。
- 4. 川か海へ小舟を流します。
唱える言葉
ウートートゥー、虫も災いも海へ送り給え。
ヒーゲーシ御願
Hīgēshi-ugan時期
近隣の火事の後、または旧暦12月に毎年。
🔥 線香の本数
ヒヌカンに1枚(6本)、門に半枚(3本)。
📜 紙
シルカビ3片。
🍚 供物
ウビー三つ、塩、泡盛、ススキ・チャーギの葉。
手順
- 1. 火の神であるヒヌカンにまず拝みます。
- 2. 台所の隅に塩と水を撒きます。
- 3. 門にサン(ススキを結んだ物)を掛けます。
- 4. 火が家を害さぬよう願います。
唱える言葉
ウートートゥー、火の災いを遠ざけ給え。
マブイグミ
Mabui-gumi時期
大きな驚き・転倒・急な病気で「マブイ(魂)」を落とした時。
🔥 線香の本数
落とした場所に半枚(3本)、ヒヌカンに1枚(6本)。
📜 紙
現場にシルカビ3片。
🍚 供物
洗い米、塩、水。本人の衣類一枚。
手順
- 1. 驚いた・転んだその場所へ戻ります。
- 2. 本人の衣類を広げ線香を立てます。
- 3. 本人の名を三度呼び「戻れ」と唱えます。
- 4. 魂を包むように衣類を取り、本人に着せます。
- 5. 家でヒヌカンに魂が戻った事を報告します。
唱える言葉
マブイグミ、マブイグミ、戻り給え。
屋移り御願
Yā-utsuri-ugan時期
引越の当日、吉日を選び、家財を入れる前に。
🔥 線香の本数
タヒラ半(15本)。四隅に各3本、新しい台所に3本。
📜 紙
四隅にシルカビ。
🍚 供物
塩・洗い米・水・泡盛。旧宅のヒヌカンの灰を持参。
手順
- 1. 旧宅でヒヌカンに報告し、香炉の灰を少し取ります。
- 2. 新宅の四隅を塩と水で清めます。
- 3. 旧宅の灰で新しい台所にヒヌカンを設えます。
- 4. 線香を立て、住む者全員の名を申し上げます。
- 5. その後に家財を入れます。
唱える言葉
ウートートゥー、今日よりこの家をお守りください。
産御願(ウマリガミ)
Umari-gami-ugan時期
出産直後と生後7日目、その後三十三夜。
🔥 線香の本数
ヒヌカンに1枚(6本)、仏壇にタヒラ(12本)。
📜 紙
ヒヌカンにシルカビ、仏壇にウチカビ奇数枚。
🍚 供物
ご飯、餅、お茶、泡盛、果物。
手順
- 1. ヒヌカンに出生・性別・名前を報告します。
- 2. 仏壇の先祖にも報告します。
- 3. 十三歳まで健やかに育つよう願います。
- 4. 餅を近隣・親族に配ります。
唱える言葉
ウートートゥー、この子の無事な成長をお守りください。
十三祝い御願
Jūsan-iwai-ugan時期
十三歳の生まれ年、旧暦正月に。
🔥 線香の本数
仏壇にタヒラ(12本)、ヒヌカンに1枚(6本)。
📜 紙
仏壇にウチカビ奇数枚。
🍚 供物
紅白餅、重箱、果物、お茶、泡盛。
手順
- 1. 新しい着物を着て年長者に挨拶します。
- 2. 仏壇で先祖に本人を披露します。
- 3. 次の十二年の守りを願います。
- 4. 親族で十三祝いの宴を行います。
唱える言葉
ウートートゥー、十三の年を無事に迎えました。
ヌジファ(ヌジファー)
Nujifa時期
家以外(事故・病院・旅先)で亡くなった時。
🔥 線香の本数
現場に半枚(3本)、家の仏壇にタヒラ(12本)。
📜 紙
現場にシルカビ、家でウチカビ。
🍚 供物
水・塩・泡盛。故人の布か衣類。
手順
- 1. 近親者(と可能ならユタ等)で現場へ行きます。
- 2. 線香を立て故人の名を呼びます。
- 3. 魂がその場を離れ家へ戻るよう願います。
- 4. 布に魂を包み仏壇へ移します。
- 5. 家の仏壇で受け、先祖に報告します。
唱える言葉
ウートートゥー、この場を離れ、我が家へお戻りください。
共通の作法
- 線香は息で消さず、手であおいで消します。
- 願いの前に必ず住所と屋号を申し上げます。
- 先祖への線香は偶数(タヒラ12本)、紙銭は奇数枚。
- どの御願もヒヌカンから始めます。家と神を繋ぐ使者です。
- 門中・家ごとに作法の違いがあります。年長者の習わしを尊重しましょう。
